観光資源の活用によるインバウンド観光地域の形成

日本には、歴史や文化を理解するために欠かせないと言っても過言ではない程、数多くの文化財が残されており、これらは貴重な国民的財産であると言えるのではないでしょうか。このため、文化庁は文化財を保護するための法に基づき、重要とされているものを「国宝」「重要文化財」「史跡」「名勝」「天然記念物」などというように「指定・選定・登録」を実施しているとされています。指定された文化財には、保存修理や防災施設の設置等に補助が行われる一方、現状の変更や輸出等には制限が課され、保存が図られているとされています。日本を代表する文化財の中でも、顕著に普遍的価値を有するものなどは、推薦され世界的な文化遺産の登録へと進んでいくとされているようです。こう言った文化財は、なるべく現状を維持し、良い状態で次の世代に受け継いでいく必要があるとされており、これまでは「保存」に重きを置かれてくることが多かったのではないでしょうか。しかし、国や自治体の財政状況が厳しくなると言った中で、文化財の保護などには十分な予算を割くことが難しくなっているのが現状であり、そのほか、過疎化や少子高齢化などの問題に直面している地域社会においては、文化財を継承する者の減少によって、文化財が散逸したり消滅したりする危機が生じているとされているようです。一方で、急増する外国人旅行者に日本を十分に理解してもらう必要も生じているということも言えるでしょう。このため、文化財を「真に人を引きつけ、一定時間滞在する価値のある観光資源」とすることによって、文化財が観光収入を得るという可能性が指摘されてきたと言えるのではないでしょうか。